ノルウェーのノーベル賞委員会は11日、今年のノーベル平和賞を、エチオピアのアビー・アハメド首相(43)に授与すると発表した。レイスアンデルセン委員長は「平和と国際協調のための尽力、とりわけ隣国のエリトリアとの国境紛争解決のための断固とした指導力」を授賞理由とした。「アフリカの角」と呼ばれる東アフリカ地域の安定化に尽力したことも評価した。
受賞決定を知らせるノーベル委員会事務局からの電話にアビー氏は「アフリカに与えられた賞であり、エチオピアに与えられた賞だ。アフリカの他の指導者も平和構築に積極的に取り組むでしょう」と語った。
アビー氏は2018年4月の首相就任直後から、内政・外交で矢継ぎ早に改革に着手。国内の民主化を進めると同時に、長年の懸案だったエリトリアとの領有権争いで譲歩する意向を表明して和解を呼びかけた。同年7月にはエリトリアの首都アスマラを電撃訪問し、イサイアス大統領と歴史的な会談を実現。外交関係の正常化で合意し、「平和と友好関係に関する共同宣言」に署名した。20年ぶりに国境往来が再開されるなど、和平が急速に進んだ。
エリトリアは武装闘争を経て1993年にエチオピアから分離独立。国境を巡る対立は激しい紛争に発展し98~00年に推定約10万人が死亡した。国際仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)が設けた委員会が03年、双方が領有権を主張する村をエリトリア領と認めたことにエチオピアが反発。国境付近で両国軍がにらみ合う緊張状態が続いていた。
レイスアンデルセン委員長は、アビー氏が両国関係以外の「和平や融和プロセスに関与」した点も強調し、エリトリアとジブチや、ケニアとソマリアの関係修復を仲介したことを挙げた。スーダンで民政移管を巡って対立を深めていた軍主導の暫定政権とデモ隊の交渉では「主要な役割を果たした」と指摘した。
ノーベル平和賞は、各国の政府や国会議員、大学教授、過去の受賞者、国際機関の職員などによって推薦された候補者の中から、5人の委員が選出する。今年は301個人・団体に対する推薦があった。
授賞式は12月10日、オスロ市庁舎で行われる。賞金は900万スウェーデンクローナ(約9900万円)。【ヨハネスブルク小泉大士、ロンドン服部正法】
2019-10-11 09:06:00Z
https://mainichi.jp/articles/20191011/k00/00m/030/227000c
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