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Sunday, August 23, 2020

中国、豪の農産品狙い撃ち 南シナ海など批判けん制 - 日本経済新聞

モリソン首相は新型コロナを巡り独立した調査を求めた=ロイター

モリソン首相は新型コロナを巡り独立した調査を求めた=ロイター

【シドニー=松本史、北京=羽田野主】中国がオーストラリアからの農産品輸入を制限する動きを強めている。食肉や大麦への規制に加え、18日には豪産ワインを対象に反ダンピング(不当廉売)調査も始めたと発表した。豪州が新型コロナウイルスを巡り独立調査を求めたことで高まった両国の緊張は、香港や南シナ海問題も背景にさらに激しさを増してきた。

「当惑している。豪産ワインは(政府からの)補助金を受けていない」。豪州のバーミンガム貿易・観光・投資相は18日、中国の発表を受けてこう述べた。リトルプラウド農相も「豪産ワインが不当廉売されているという主張は受け入れられない」と声明を発表した。

豪州側には焦りがにじむ。中国は5月に「検疫上の理由」から豪産食肉の輸入を一部停止。直後には豪産大麦の価格が不当に安いなどとして、80%超の追加関税を課すことも決めた。豪金融関係者の試算によると、6月の中国への大麦の輸出額は前月比98.7%減の約109万豪ドル(約8300万円)に急減。食肉も6月の中国への輸出額は前月比で22%減だ。

反ダンピング調査が始まったワインは、輸出の約4割が中国に向かっている。中国が輸入規制をちらつかせながら豪州を揺さぶっているとの見方が強い。

両国関係が決定的に悪化したのは4月、豪州が新型コロナウイルスを巡り、独立した調査を要求したためだ。当時、米国や欧州ではコロナの発生源とみた中国への賠償論が広がっていた。

北京のある大学教授は「中国共産党が最も恐れたのが各国からの賠償請求だった」と話す。賠償論の引き金になりかねない独立調査を主張した豪州を徹底的にたたき、同調する国が広がらないように抑え込む狙いがあると解説する。

中国はそれまでも豪州への警戒を強めていた。豪州は2018年8月に次世代高速通信規格「5G」を巡り安全保障上の懸念を理由に華為技術(ファーウェイ)の排除を決めた。中国が豪産大麦の反ダンピングに関する調査や石炭の輸入手続きの検査強化を始めたのは豪州がファーウェイ排除を決めてからだ。

中国紙「光明日報」は18年12月にSNS(交流サイト)上で「(米英など5カ国の情報共有の枠組みである)ファイブ・アイズがファーウェイの阻止戦を発動した」と主張、豪州を名指しで非難した。

今年に入って新型コロナを巡る対立に香港や南シナ海の問題が加わり、両国の関係はさらに冷え込んだ。中国政府が香港への統制を強める「香港国家安全維持法」を施行したことを受け、モリソン首相は7月に豪国内にいる香港市民が永住権を申請できるようにすると発表。同月下旬には、中国が軍事拠点化を進める南シナ海について同国が主張する領有権を認めないとする書簡を国連のグテレス事務総長に提出している。中国はこうした動きにも反発を強めたとみられる。

両国の対立は企業活動にも影響しそうだ。豪紙フィナンシャル・レビューは20日、中国乳業大手の蒙牛乳業がキリンホールディングスから豪ライオン飲料を買収する計画について、豪政府が認めない方針だと報じた。同紙は「外交上の問題」が政府の判断の背景にあるとする関係者のコメントを紹介している。

米国は英国や豪州などファイブ・アイズを中心に民主主義国と連携し、中国へのけん制を進めようとしている。豪州はファーウェイや南シナ海問題など安全保障では米国と足並みをそろえるが、経済的には中国に深く依存しており対立が長引けば市民生活への影響も出かねない。

豪州の輸出に占める中国の割合は19年6月までの1年間で32.6%と、米国やカナダ、隣国のニュージーランドと比べても高い。特に豪州最大の輸出品である鉄鉱石は、8割以上が中国に向かい、資源企業の収益を支える側面も持つ。農産品でも羊毛は輸出の7割超、大麦は6割超を中国が占める。

豪政府は農産品を中心に輸出先の多角化を目指すが、中国にとって代わる市場は見えないままだ。与党・自由党の元党首でオーストラリア国立大学教授のジョン・ヒューソン氏は「長期的にみれば、豪中いずれも建設的な貿易関係を必要としている」と指摘する。

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August 23, 2020 at 06:26PM
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