デスク日誌(6/20)：憲法と財政 - 河北新報

憲法と財政

　東京支社の本立てにあった一冊を手に取った。「日本国憲法」（小学館）。国の第２次補正予算で積み増しされた１０兆円の予備費は果たして認められるのか、疑問に思ったからだ。
　憲法は、第１章の「天皇」から第１１章の「補則」までの１０３条で構成される。このうち、第７章の８３〜９１条は「財政」について書かれている。
　「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいて、これを行使しなければならない」（８３条）。税金を使うときは国民のお墨付きが必要だということ。予備費は「予見し難い予算の不足」（８７条）に充てるためにある。
　例年、当初予算に計上される予備費は３０００億円程度。リーマン・ショック後の２００９年度は、追加補正分も含め１兆円強だった。新型コロナウイルスによる比類のない災禍とはいえ、事前に使途を定めない予算が１０兆円もあるというのは、あまりに乱暴だ。
　政府・与党は野党から国会軽視との批判を受けて５兆円分の使途を明示した。くしくも７３年前に施行された憲法が２０年度予算案を予見し、目を光らせていたかのようでもある。（東京支社編集部長　末永秀明）

2020年06月20日土曜日

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