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Thursday, September 7, 2023

徳川斉昭の料理本「食菜録」 レシピをネット公開 いばらきうどん、茄子のへた…300種 地元研究グループ「水戸の新た ... - 東京新聞

食菜録のレシピを載せたウェブサイトを紹介する荒木雅也教授

食菜録のレシピを載せたウェブサイトを紹介する荒木雅也教授

 いばらきうどん、茄子(なす)のへた-。江戸時代末期の水戸藩主、徳川斉昭が記した料理本『食菜録』には、現在では聞き慣れない料理レシピ300種類が掲載されている。この本を研究する地元のグループが、レシピの原文と一部の再現写真、調理動画を紹介するウェブサイトを立ち上げた。中心メンバーの茨城大の荒木雅也教授は「掲載料理がさまざまな場で食されるようになり、水戸の新たな名物になれば」と期待する。 (長崎高大)

『水戸烈公の医政と厚生運動 下巻』に掲載されている食菜録=いずれも水戸市で

『水戸烈公の医政と厚生運動 下巻』に掲載されている食菜録=いずれも水戸市で

 荒木教授はシャンパンや夕張メロンなど、地域と結び付いた特産品を保護する国の「地理的表示(GI)」が専門。名古屋市にも住んだことがあり「ういろう、みそ煮込みうどんなど伝統的な名物がある名古屋に比べて、同じ徳川御三家の城下町ながら、水戸には顔になる名物がない」と感じていたという。

 ヒントを古典に求めようと大学の書庫を探し回り、約15年前に食菜録と出合った。ただ、見つけたのは原本ではなく、1943年発行の『水戸烈公の医政と厚生運動 下巻』という書物。その中に、食菜録の内容全文が書き写されていた。荒木教授は「おそらく原本は、徳川家のどこかの蔵の中にあるのだと思う」と推測する。

 荒木教授は昨年4月、歴史や調理などの専門家の有志と「水戸食菜録研究会」を立ち上げた。水戸市内で食菜録の掲載料理を普及させることなどを目的に、内容の精読や調理方法の再現などに取り組んでいる。

 掲載料理は揚げ物やあえ物、炒め物、煮物から麺類、菓子、酒など多岐にわたる。当時、全国で一般的に食べられていた料理もあれば、食菜録オリジナルとみられるレシピもある。冒頭で紹介した「いばらきうどん」は細長い麺ではなく、平たい四角形をしている。「茄子のへた」はみりんとしょうゆで煮込み、煮豆と一緒に食べる。原文には「気根をよくし髪を増やす」と書かれている。

 レシピの原文は江戸時代の文体で、そのままでは理解が難しい部分もあるため、一部は調理動画を掲載した。動画は水戸市の調理専門学校の協力で制作し、現在は「鴨(かも)てんぷら」「ソップ製法」「蛤(はまぐり)はんぺん」の計3本が見られる。今後さらに増やしていく計画だ。

 サイトの立ち上げについて、荒木教授は「読みたくても読めなかったレシピを万人が見られるようになった意義は大きい。食菜録の存在は水戸の人にもほぼ忘れ去られているので、これから知名度を上げていきたい」と話す。

 研究会は11月26日に「徳川斉昭と食菜録」をテーマにしたシンポジウムを県立歴史館(水戸市)で開くほか、本年度内には県内のレストランやホテルのシェフに料理を再現してもらう場を設ける。荒木教授は「近いうちに、水戸市内で食菜録の掲載料理が食べられるようになるかもしれない」と期待を込めた。

 サイトは茨城大のホームページで「食菜録」で検索。

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