このところ全国的に好天の日が多いが、気分はさえない。大阪府は政府に対して、緊急事態宣言の発令を要請した。やっぱり「マンボウ」こと蔓延防止等重点措置では効果がなかったらしく、つくづく「変異株」は油断がならない。 3月21日に1都3県で緊急事態宣言が明けたときはホッとしたものだが、東京都なども含めてまた「元の木阿弥」となるらしい。5月の大型連休を前に、ついため息が漏れるところである。 ■コロナで政策の成否が「丸見え」の状態に
それにしてもこんなに変化が激しいのでは、政府や自治体の対応は大変だ。ほとんど週単位のデータの変化に反応しなければならない。 最近は新型コロナウイルスが地域経済に与える影響を可視化する材料として、内閣府がV-ESAS という便利なサイトを運営している。この情報開示を見ると、全国の経済活動がいかに激しく変化しているか、そして地域差がいかに大きいかがよくわかる。 政府や自治体は、こうしたデータの変化を見て機敏に手を打っていく必要がある。しかるに、分析結果などを基にした「データドリブン」の政策運営は、この国ではほとんど体験がないのである。強いて言えば、戦争をやっているときの政府は、こんな感じなのではないだろうか。
もっとも、これは滅多にないチャンスだという見方もできる。経済政策なんぞは、普通は四半期や月次のデータで事足りる。戦争や感染症などがない場合、経済はそんなに急変することはない。だから「今年1-3月期GDP 1次速報値は、5月18日に公表の予定です」などと悠長なことを言っていても許される。いや、エコノミストとしては、できればもっと早く発表してほしいんですけれどもね。ちなみに先進国の中でも、日本のGDP統計の公表はもっとも遅いほうである。
ところが今はコロナがあるために、政策は短期決戦で決断しなければならず、それもすぐに結果が出てしまう。ファンファーレの数分後には勝敗が決する競馬のように、自分が下した判断が正しかったか間違っていたか、すぐに明らかになってしまうのだ。政府としてはまことにつらいところで、政策の成否が国民から丸見えになってしまうのである。 一時はコロナ対策が称賛されていたドイツのアンゲラ・メルケル首相の人気が今はガタ落ちで、9月の総選挙後は緑の党がドイツの第1党になるかもしれない、などと言われている。コロナは政治家や政党を使い捨てにしてしまうのだ。
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