ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問=ロイター
【ヤンゴン=新田裕一】ミャンマーの与党、国民民主連盟(NLD)の広報担当は1日、事実上の政府トップのアウン・サン・スー・チー国家顧問とウィン・ミン大統領が首都ネピドーで国軍に拘束されたと明かした。日本経済新聞の取材に答えた。クーデターが起きた可能性がある。NLDが大勝した2020年11月の総選挙(上下両院選)について、国軍は「不正があった可能性がある」と批判していた。
NLD広報担当によるとほかにも拘束された党員がいる。ネピドーにいる連邦議会議員の安否は不明という。「ミャンマーにおける民主主義を守るため、幅広い国際社会の支援が必要だ」と訴えた。警察関係者によると、NLD幹部や同党出身の地方政府トップらも拘束された。
ミャンマー国営放送(MRTV)は1日午前、フェイスブック上で「コミュニケーション上の問題でテレビ・ラジオの放送が止まっている」と明らかにした。最大都市ヤンゴンでは視聴できていない。
ネピドーでは1日未明からインターネットや電話が不通となっているもようだ。ヤンゴンから連絡が取れない。ヤンゴンでも同日午前、携帯電話の通話などが通じなくなった。
1日は首都ネピドーで総選挙後初めて、連邦議会下院が招集される予定だった。しかし、国軍は招集の延期を求めているもようだ。
AP通信は「ミャンマーでクーデターが起きた」と報じた。英BBCは「クーデターであることは明かだ」と指摘したが、断定は避けた。
ミャンマーのウィン・ミン大統領=ロイター
NLDは20年11月の総選挙で改選議席の83%を得て圧勝。軍政の流れをくむ国軍系の野党、連邦団結発展党(USDP)は議席を大きく減らした。だが、USDPと国軍はそれぞれ、選挙に不正があった可能性を指摘し、選挙管理委員会などに詳細な調査を求めていた。国軍関係者によると、国軍と政府の代表者は28日、ネピドーで事態収集に向けて話し合ったが、合意できなかった。現地報道によると、国軍側は票の数え直しや議会の開会延期を求めたが、政府側は拒否した。
国軍は1月26日の記者会見でクーデターを示唆。ミャンマーメディアはミン・アウン・フライン国軍総司令官が27日に「法律を守らない人がいるのならば、それが憲法であっても廃止されるべきだ」と訓示したと報じた。同国駐在の欧米外交団や国連は28日までに、国軍に民主化プロセスを守るよう相次ぎ声明を出した。国軍の広報担当は31日「(軍政下で制定された)2008年憲法に定められている自由で公正な選挙の民主的規範を守るために、可能なことをすべて実行する」という内容の声明を発表していた。
ミャンマーでは11年、前年の総選挙での国軍系政党、連邦団結発展党(USDP)の勝利を受け、軍出身のテイン・セインが大統領に就任。形のうえでは軍政から民政への移管が実現した。スー・チー氏は10年11月の総選挙後に自宅軟禁を解かれ、12年4月の連邦議会補選で下院議員に当選。同氏は15年の総選挙でNLDを率いて圧勝し、歴史的な政権交代を果たした。だが、憲法の規定で同氏は国家元首の大統領になれず、国家顧問兼外相として事実上の政府トップになった。
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