【北京=三塚聖平】28日に閉幕した全国人民代表大会(全人代)は、新型コロナウイルス感染拡大の直撃を受けて急速に悪化した中国経済の立て直しに重点が置かれた。失業率の増大は社会不安を招きかねず、雇用の安定が強調された。積極的な財政出動で景気を下支えする。一方、香港の問題をめぐって米中対立が先鋭化し、1980年代からグローバル化を成長の柱としてきた中国経済に影を落としている。中国は内憂外患の事態に陥っている。
「もし新型コロナがなければ、経済成長目標は6%前後に決めていただろう」
習近平(しゅう・きんぺい)国家主席は全人代の分科会、内モンゴル自治区の会議に参加し、今年の国内総生産(GDP)成長率目標の設定を見送ったことに関し、こう漏らした。
これまでのような経済成長が望めない中で、強調されたのは「安定」だ。李克強首相は22日、開幕式の政府活動報告で「雇用優先政策は全面的に強化せねばならない」と述べた。
中国ではかつて成長率1%で100万人前後の新規雇用が生まれるとの見方があった。単純計算で6%成長なら600万人となる。
しかし、万一、マイナス成長に陥れば新卒者の多くが職に就けず、失業率そのものも大幅に増える。人民の不満や怒りは政府に向かいやすく、習指導部は雇用問題にピリピリしている。
新型コロナ前に5%程度だった失業率は2月に6・2%、3月に5・9%、4月に6・0%と公表された。ただ、香港メディアによると4月下旬、中国の証券会社が実際の失業率は20%を超えたとの分析を発表し、直後に撤回する騒ぎが起きた。数字の真偽は不明だが、雇用実態は公表数字より深刻な可能性がある。
国内問題に加え、中国経済を根底から揺さぶりそうなのが米国との対立の行方だ。香港問題をめぐり、トランプ米大統領は中国が香港に「国家安全法」導入を強行すれば、今週中にも中国に対する制裁措置を発表する考えを示している。
新型コロナ蔓延(まんえん)で世界経済がマヒしている中で、米国と全面衝突すれば中国からの輸出や、海外から中国への投資に打撃となる。外需の先行きも不透明だ。
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May 28, 2020 at 09:07PM
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中国、経済再生へ雇用安定重視 - SankeiBiz
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