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Monday, August 19, 2019

【オピニオン】香港デモ、企業に向く中国当局の矛先 - Wall Street Journal

【オピニオン】香港デモ、企業に向く中国当局の矛先 - Wall Street Journal

18日に香港で行われた抗議デモ Photo: Kyle Lam/Bloomberg News

――筆者のジリアン・ケイ・メルチャーはWSJ論説ページのライター

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 【香港】香港の警察当局は18日の抗議集会を10万人が収容可能なビクトリア公園内だけにとどめたかった。しかし、抗議集会の公式開始時間までに、参加者は4駅離れた中環(セントラル)駅にまであふれた。彼らがようやく目的地に着いた時、道路は激しく混雑し、数ブロック進むのに何時間もかかる状態だった。しかし、参加者数はビクトリア公園を通過した段階でカウントされるので、抗議参加の意思を断固として示したい彼らは、じりじりと前進して公園を通過。その後、中環のビジネス地区に向け、無許可のデモ行進を行った。

 18日の平和的デモを組織した民主派団体「民間人権陣線(CHRF)」の推計では、参加者は170万人に達した。抗議行動に伴うリスクを考えれば、この数字は特に注目に値する。

 一部のデモ参加者は、警察や私服の暴漢らによって重傷を負わされている。これまでに700人以上のデモ参加者が拘束され、その一部は禁錮10年を科されかねない「暴動」の罪で起訴されている。そして、中国政府による香港企業への圧力により、デモ参加者の生活基盤も危機にさらされるかもしれない。

 最も目立つ標的は、香港を代表する企業の1つであるキャセイパシフィック航空だ。同社の日々の業務には3200人の従業員が必要だが、香港職工会連盟(HKCTU)会長を務めるベテラン客室乗務員のキャロル・ウン氏によれば、一斉ストの際には約1500人が職場を放棄した。

 中国の航空当局は、デモに関わったキャセイ従業員について、中国本土発着便への搭乗を禁じると発表した。本土発着便はキャセイの便全体およそ5分の1を占める。同社のルパート・ホッグ最高経営責任者(CEO)は先週、たとえそれがプライベートな時間だったとしても、「デモを支持、もしくはデモに参加した」従業員は罰せられる可能性があると述べ、その後辞任した。同社は少なくとも4人を解雇している。同社のジョン・スローサー会長は、リンクトインのメッセージを通じた筆者からの取材要請を拒否した。

 ウン氏によれば、中国政府からのメッセージを要約すると「仕事に戻り、黙っていろ」になる。大手企業が「政治的圧力に屈することを余儀なくされるのであれば、次は何が起こるのか。中小企業が中国政府の側に付くよう強制ないし指示され、香港中で解雇が増えることが予想される」と同氏は語る。

 ウン氏はこのやり方がうまくいかないとみている。「香港の人々が口を閉ざしたままでいることはないだろう」。香港職工会連盟には約19万人の組合員を代表する90を超える支部がある。同氏は18日夜、メッセージサービスのワッツアップを通じて筆者に「われわれの支部の70~80%近くがデモに参加していたようだ」と述べた。その1つである香港教育専業人員協会も、10万人以上の組合員のうち2万2000人が17日行われたデモに参加したと推測している。

 当局者は政治危機が香港経済に影響を及ぼすことを懸念している。中国政府が支持する林鄭月娥(キャリー・ラム)香港行政長官は9日、「多くの人々の手で構築されてきた社会に利害関係を持たないごく少数の人々」が、景気悪化をもたらす恐れがあると警告した。香港政府は15日、24億ドル(約2500億円)規模の景気対策を発表した。これには、1世帯当たり2000香港ドル(約2万7000円)の電気代補助も含まれる。

 香港の民主派政党「香港衆志(デモシスト)」の幹部、鄭家朗(アイザック・チェン)氏は先週のインタビューで、こうした動きを予測していたと語った。「まず初めに彼らは人々を支配するため恐怖を使う。次いで彼らは人々を引きつけるために経済的利益を利用する」。この戦略は、政府が自らの正当性を民意ではなく、社会の繁栄によって確保する中国では有効に働いた。しかし、香港にはより崇高な「民主主義、自由、人権の価値」を理解する文化的な違いが存在すると同氏は語った。

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 「612人道支援基金」の何秀蘭(シッド・ホー)氏は、香港政府は「人々をなだめるためにお金をばらまこうとしている」と指摘する。同基金は、デモ参加者向けに医療費の支払いを助けたり、その他の支援を提供したりしている。同氏によれば、当局が電気代補助を発表した後、基金には2000香港ドル単位での寄付が急増した。

 香港の人々はデモが自分自身と香港全体の双方にとって経済的リスクとなることを理解している。しかし、18日のデモに参加していたケニー・プーン氏(29)は筆者に対し、経済は「香港政府に対するわれわれの交渉力」だとし、「われわれのスローガンは、『もし燃えるのなら、ともに燃え尽きる』だ」と語った。

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2019-08-19 06:23:00Z
https://jp.wsj.com/articles/SB11242116211589053556304585497052383489936

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