アジアの政治・経済などについて討議する第26回国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)が20日午前、都内で開幕した。マレーシアのムヒディン首相は、新型コロナウイルスの感染拡大の収束に向け「各国の平等なワクチン確保が課題になる」と述べた。シンガポールのヘン・スイキャット副首相兼経済政策担当調整相は「米国と中国が建設的な競争関係を築くことは可能だ」と強調した。
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ムヒディン氏は深刻なワクチンの供給不足が各国間の格差につながっていると指摘した。「最も豊かな27カ国は人口は世界の10%強にすぎないが、ワクチンの35%強を握っている」と先進国を批判。生産能力に比べ輸出が少ない米国や英国の姿勢にも疑問を呈した。
バイデン米政権は5日、ワクチンの国際供給量を増やすため、特許権の一時放棄を支持すると表明した。ムヒディン氏は「米政権の方針を歓迎する」と述べた。
ムヒディン氏はさらに「上位1%の所得層に比べ残り99%の人々の賃金はわずかしか伸びていない」と述べ、各国で広がる経済格差への対処も課題に挙げた。経済格差はコロナ禍でさらに広がり「アジアは市場の失敗に心をこめて取り組む必要がある」と強調した。
20カ国・地域(G20)が協調した2008年の金融危機後とは対照的に、現在は「超大国の間では貿易や先端技術、地政学的な問題を巡って対立し信頼関係が欠如している」とも述べた。
コロナ後の世界では「最も寛大な国、壁ではなく橋を築く国、隣人を追い払うのではなく結びつける国が成功を収めるだろう」と述べ、対立を深める米中関係の修復に期待をにじませた。
シンガポールのヘン・スイキャット副首相は気候変動問題で、米中に「協力の兆候がみられる」と指摘した。「アジアの多くの国は米中が関係を強化することを望んでおり、両国と建設的に関わることを望んでいる」と述べた。一方で「米中の戦略的な競争関係が激化することもあり得る」として、米中の覇権争いはバイデン政権下でも続くとの認識を示した。
国軍がクーデターを起こしたミャンマーに関しては「状況が正常化するまでの道のりは長く、困難なものになる」との認識を示した。4月の東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議で合意したミャンマーへの特使派遣など5項目の実現を通じ、事態の安定化に尽力する姿勢を示した。
台湾や南シナ海の問題もアジア域内の懸念事項として列挙した。破滅的な事態を避けるためASEANと中国が南シナ海問題で行動規範を作るなど、対話を進めていくことの重要性を指摘した。
環太平洋経済連携協定(TPP)や東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)の重要性についても触れた。「これらの貿易協定が将来、米中、インドが加わるアジア太平洋地域の巨大な自由貿易協定(FTA)の草分けとなり得る」と指摘。域内の大国が加わる野心的な貿易協定の構想に言及した。
海外からの登壇者はオンラインで講演した。
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