新型コロナウイルスの感染拡大が続くパキスタンで、バッタが大量に繁殖し食糧被害が懸念されている。国連は群れが今後、インド国境周辺に移動し、6月には東アフリカから別の群れが到達する恐れがあると予測。約3分の1の地区が既に影響を受けており、政府関係者は「食糧だけでなく経済に大打撃になる」と危機感を募らせる。
「タマネギやメロンに被害が出た。過去にない規模だが、政府は助けてくれない」。南西部バルチスタン州の農家、バルカット・ゼイブさんは悲鳴を上げた。
バッタは1日に最大150キロ移動し、食い散らかした後に次の標的に向かう。国連食糧農業機関(FAO)によると、2018年にアラビア半島で繁殖したバッタがイランを経由し、19年夏にパキスタンにやって来た。
今年3月ごろ同国では例年より多くの雨が降り、バッタが繁殖しやすい環境になった。4州50以上の地区で影響が確認されており、FAOは穀物などの被害額は8170億パキスタンルピー(約5476億円)に達する恐れがあると予測している。
政府は経済的関係を強める中国から農薬などの提供を受け、駆除を続けるが、新型コロナの流行で国際線は停止。十分な散布用の機材を確保できていないという。
感染拡大の影響で多くの産業が長期間停止し、経済は疲弊している。パキスタンの公共政策専門家、アビッド・スレリ氏は「危機は時限爆弾のように迫っているが、駆除対策は追い付いていない。経済のさらなる悪化につながるだろう」と指摘した。(イスラマバード 共同)
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May 29, 2020 at 05:30AM
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バッタ繁殖で食糧危機懸念 パキスタン、経済さらなる悪化へ - SankeiBiz
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