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Sunday, May 3, 2020

新型コロナ:供給網の国内回帰を支援 グローバル展開の深化も課題 - 日本経済新聞

新型コロナウイルスの感染拡大による経済の急収縮に対応する緊急経済対策は総額117兆円と空前の規模に膨らんだ。急ごしらえの対策に入った見逃せない政策の中身と課題を点検する。

コロナ禍で、これまで輸入に頼っていたマスクや医療機器などが日本に入りにくくなった。政府は2020年度補正予算に生産拠点の国内回帰を促す補助金として2200億円を盛ったが、しなやかで強固なサプライチェーン(供給網)の構築にはまだ課題が残る。

補助金は特定の国への生産の依存度が高い製品や素材について国内に工場を新設したり設備を導入したりする場合が対象だ。特に念頭に置くのが中国からの分散だ。17年の中間財の輸入に占める中国の割合は21.1%と高い。

アイリスオーヤマは現在、中国でマスクを生産している

アイリスオーヤマは現在、中国でマスクを生産している

補助率は中小企業が複数社で申請した場合が最大の4分の3となり、1社で申請する場合は大企業が2分の1、中小企業が3分の2だ。アイリスオーヤマ(仙台市)がマスクの一貫生産を6月にも宮城県内で始めるのが適用第1号になるとみられる。不織布などの材料も内製化し、月に1億5000万枚を生産できるようにする計画だ。

経済産業省の海外事業活動基本調査によると、製造業の売上高に占める海外生産比率は直近の17年度時点で25.4%と過去最高水準にある。11年の東日本大震災で国内の供給網が傷んだのを契機に海外移転が加速した経緯がある。今なお災害リスクや人件費の高さなどを考慮すると、海外生産に経済合理性があると考える企業は多い。

自由貿易に基づく国際的な分業体制こそが世界経済の成長力の源泉だったが、足元では米国を中心に自国優先の保護主義が首をもたげる。コロナ禍の終息後の経済の回復に向けて安全保障や効率性、コストなど様々な要素のバランスを踏まえたグローバルな供給網の再構築と深化が試される。

補正予算は生産拠点を東南アジア諸国連合(ASEAN)などに分散する補助金も235億円計上した。主に生産設備が対象で、例えば既にアジアに自動車部品などの工場がある企業を想定するが、国内回帰の補助金と比べると規模は小さい。

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