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Wednesday, April 29, 2020

大盤振る舞いは不可避、どうするコロナ危機後の財政 - 日経ビジネス電子版

全3165文字

各国政府は新型コロナ危機対策で支出を拡大し、世界金融危機の時以上に債務を膨らませている。現在の支出は間違いではなく、臆病になりすぎてはいけない。だが、危機の収束後に備える必要がある。経済成長を取り戻し、増税と緊縮に取り組むことになる。非常に難しいかじ取りだ。

新型コロナ経済対策法案に署名するトランプ米大統領(写真=AP/アフロ)

 世界各国の指導者は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する懸命な取り組みを語るのに「戦争」という言葉をよく使う。ほとんどの場合この表現は比喩的だが、ある意味で正しい。先進諸国の公的債務が急増しており、がれきに埋もれ煙の漂う1945年以来見られなかった高水準に迫る勢いなのだ。

 経済が壊滅状態に陥る中、各国政府は家計や企業がロックダウンを切り抜けられるよう大盤振る舞いをしている。一方、工場や商店、事業所も操業や営業を停止しているため税収は一気に縮小する。病院から同感染症の患者がいなくなった後、各国はかなりの期間、この余波と共に生きていくことになる。

 各国の財政は驚くほど悪化しつつある。米政府は今年度、財政赤字を国内総生産(GDP)の15%まで膨らませようとしている。追加の景気刺激策が必要になれば、この値はさらに上昇する。

 国際通貨基金(IMF)によると、先進国の政府債務残高は2020年の1年間で6兆ドル(約650兆円)増えて66兆ドル(約7100兆円)に達する。GDP比では105%から122%への上昇だ。世界金融危機の間でさえ、これほど上昇した年はなかった。ロックダウンが長引けば負担は増す。この巨額の債務への対処は今後数十年にわたり先進国社会の重荷となるはずだ。

債務規模の心配しすぎは禁物

 経済において、政府債務の額ほど注目される数字はあまりない。米ニューヨークのタイムズスクエア近くにある「借金時計」は、米国が抱える債務の額を1989年から刻々と表示し続け、迫りくる財政破綻を警告している。

 しかし、国の公的債務は家計のクレジットカードの未払い額とは異なる。国民が国債を保有しているのなら、実質的に自分から借金しているにすぎない。金額は大きくとも問題になるのは返済コストだけで、金利が低ければそのコストも小さい。

 2019年に米国が払った金利の額はGDPの1.8%。これは20年前より小さい値だ。19年の日本の公的債務残高はGDPの240%近いが、この債務が維持できなくなる兆候はほぼなかった。

 通貨を自国で発行している国は、中央銀行が国債を購入することで金利を抑制できる。各国の中央銀行はここ数週間、この措置を空前の規模で実施している(米連邦準備理事会=FRB=はこの5週間で、20年3月に至る1年間の純発行額を超える国債を購入した)。

 今のところインフレのリスクはない。特に原油価格が暴落した影響が大きい。大半の経済学者は、政府がむやみに借金を重ねることよりも、公的債務が積み上がることを不合理に恐れて臆病になりすぎることを懸念する。今の状況で財政支援が不十分だと、経済を縮小の悪循環に突き落としかねない。

 一層の景気悪化を回避すべく今できるだけの支出をすることが唯一の合理的な道だとはいえ、闇雲な借り入れを何年も続ければいずれ問題に直面する。

日経ビジネス2020年5月4日・11日号 70~71ページより

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