ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月20日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。トランプ大統領の弾劾訴追について解説した。
トランプ大統領が21年ぶり、史上3人目の弾劾訴追
アメリカの議会下院は18日、トランプ大統領を弾劾訴追する決議案を可決した。ウクライナ疑惑をめぐる権力の乱用と、議会に対する妨害の2つの条項を理由に挙げており、年明けにも上院の弾劾裁判でトランプ氏を罷免するかどうかが争われる予定。アメリカ大統領の弾劾訴追は21年ぶりで、トランプ氏は史上3人目となった。
飯田)イメージではニクソンさんを思い浮かべるのですが、彼は訴追はされていない。
宮家)ニクソンは弾劾訴追される前に辞めたのです。3人目と言うのだけれど、1人目は1868年だから、明治維新のときです。これはあまりに古いからちょっと置いておいて、もう1人は誰かと言うと、1998年のビル・クリントンさんです。ラジオでは言えないようなことを、ホワイトハウスのなかでやっていた。
飯田)不適切な、という。
下院で弾劾の訴追をするかどうかを決め、上院で裁判~3分の2以上で有罪
宮家)そうです、当時私は北米局にいたので、どうなるのかと思ったけれど、トランプさんとは別の意味でクリントンさんも政治的に強かだったから、生き延びたわけです。今回は当然のことながら、共和党が上院で過半数を持っていますから、3分の2の賛成で有罪になるということはほとんどありません。リスナーの方に説明すると、下院で弾劾の訴追をするかどうか決める。いまそれが決まったわけですが、具体的な弾劾裁判は上院で行います。100人の上院議員が、陪審員のような形になって裁判をする。その結果、3分の2以上が賛成すれば有罪になるということです。しかし今は共和党が過半数を持っているのだから、それはまず無理です。
弾劾される前に辞めたニクソン大統領の時代とは違う
宮家)かつてのニクソンさんも、本当は共和党の仲間たちにすがって何とか戦い続けたかったのだけれど、下院の大統領弾劾の投票の前に、どうも雪崩を打って共和党の連中が弾劾に賛成しそうだとなった。これでは大統領の権威を汚すということで、ニクソンさんは身を引いたわけです。いい意味でも悪い意味でも、ニクソン大統領は立派な人だと思います。では、トランプさんはどうかと言うと、いま完全に共和党がトランプ党になっています。ニクソンの時代はあまりありませんでしたが、いまは予備選挙をやっているでしょう。今度の大統領選挙のときにも、上院議員の選挙があります。そのときに3分の1を改選するわけです。仮にトランプさんに批判的な現職の共和党上院議員が彼に歯向かって喧嘩を売ったら、トランプさんの手下のような連中がやって来て、予備選で落ちてしまうのです。トランプさんはそういう圧力をかけることができるので、みんな恐ろしくて誰もトランプさんに手が出せない。ニクソンさんの時代とはまったく違う状況なのです。だから、トランプさんは生き延びると思います。
飯田)本番の選挙と違って、予備選となると基本的に共和党員の投票で…。
宮家)しかも、偏った人たちしか来ないですからね。
飯田)投票に行くようなモチベーションのある人は…。
宮家)モチベーションのある人ということは、トランプさんが自分の関係者を動員できるということです。トランプさんが「あいつを落選させてしまえ」と言えば、現職の上院議員だって予備選で負けてしまいます。そういうことを恐れている人たちは、決して少なくないと思います。それもあって、残念ながら今の共和党はトランプさんの思うとおりに物事が動くようになっていると思います。しかし本来は、大統領を辞めさせるかどうか、大統領に選ぶかどうかは大統領選挙で決めるべきであって、弾劾で辞任させるというのは、どちらかと言えば邪道ですよ。来年(2020年)の選挙がいちばん大事で、「弾劾ではなく、選挙で決着をつければいいではないか」という声は、共和党のなかにもあります。
飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00
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2019-12-21 02:50:00Z
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