
前回の景気刺激策との「違い」は?
2021年の第3四半期、日本経済はふたたび縮小傾向を見せた。新型コロナウイルスに対する規制や、大手メーカーを直撃したサプライチェーンのひっ迫など、経済の基盤がなかなか固まらなかったためだ。 【画像】米紙が予想する日本経済の行先とは? 7月から9月にかけての経済成長率は、年率換算で3%減に。四半期ベースでは0.8%減であることが、政府が発表したデータでも明らかになっている。 しかし、少なくとも短期的には明るい未来が、日本を待っているかもしれない。 いま、日本は主要国のなかでも、極めて高い新型コロナウイルスのワクチン接種率を誇る。そして、ここ数週間の感染者数は、世界的に見てももっとも少ないレベルだ。経済に対する規制も、いまではほぼすべてが解除されている。約75%の国民が接種を「完了」し、感染者数は8月のピーク時に比べ、約99%も減少したのだ。 そして、選挙を終えたばかりの政策立案者たちは、経営不振に陥る企業を支援し、国民に現金を供給するための新たな景気刺激策を準備している。大和総研のエコノミスト、小林若葉は今回の景気刺激策について次のように語る。 「今回の景気刺激策は、給付された現金がそのまま国民の預貯金となった、前回の刺激策よりも効果が得られるでしょう。 今回は人々の外出に対する制約が少なく、このような状況であれば個人消費を促進するのが容易になります」
「車を買いたくても買えなかった」
パンデミック以前から、日本には「高齢化」や「企業競争力の低下」という問題があり、経済成長に苦戦していた。昨年後半には伸びが見られたものの、その後はコロナ禍で拡大と縮小をくり返してきた。 ほかの主要国が規制緩和によって活気を取り戻す一方、日本はウイルスとの戦いに数ヵ月を費やし、泥沼から抜け出すことができないでいるようだった。7月から9月にかけては、ワクチンの供給プロセスに不手際があり、ほかの国に比べてかなりの遅れをとってしまった。 今年の夏にはもっとも厳しい戦いを強いられた。五輪の開催直前にもかかわらず、感染者は急増。スポンサーたちは広告を取りやめ、観光客は家にこもった。無観客での五輪は、開催地に約束されていたはずの「経済的な後押し」にはならなかった。 感染拡大が進み、日本は新たな緊急事態宣言を発令。飲食店は早々に閉店し、旅行はできなくなり、多くの人が自らが感染することよりも「ステイホーム」を選んだ。 同時に、半導体の供給が不足し、自動車メーカーは大幅減産を強いられた。日本の自動車メーカー上位8社の9月時点での自動車生産台数は、前年同月の約半分にまで落ち込んだ。 「生産量が大幅に減少したため、人々は車を買いたくても買えなくなってしまった」と小林は語る。
求められるビジョン
10月に非常事態宣言が解除されてから「人出はパンデミック前の水準に戻りつつある」と、日本総合研究所の小沢智彦研究員は語る。 同氏は、今後の日本経済について「感染拡大のリスクは残るが、現時点では回復の見通しが立っている」との見解を示し、「今後数ヵ月は国内消費の高い伸びが期待できるだろう」とも述べた。 日本車の重要な部品を製造する東南アジアでのパンデミックが終息し、半導体メーカーも生産を拡大すれば、自動車産業も回復の兆しを見せ、「来年の1~3月には輸出が回復するだろう」と小沢は言う。 © 2021 The New York Times Company
Ben Dooley and Hisako Ueno
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