
本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。
●経済対策の原案が明らかになり、現金給付は18歳以下に一律10万円の方向で検討中の模様。 ●10年後以降の増税を予想する家計が多いほど、現金給付の景気刺激効果は低下する可能性。 ●経済対策への市場の評価を高めるには中長期の視点での構造改革や規制緩和の提示が必要。
経済対策の原案が明らかになり、現金給付は18歳以下に一律10万円の方向で検討中の模様
このところの報道で、岸田首相の経済対策の原案が明らかになってきました(図表1)。それによると、原案では、「成長も、分配も実現し、経済を自律的な成長軌道に乗せる」としたうえで、(1)感染拡大の防止、(2)「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と危機管理の徹底、(3)未来社会を切りひらく「新しい資本主義」の起動、(4)国民の安全・安心の確保、この4つを柱に据えています。 経済対策には、「Go Toトラベル」の再開が盛り込まれる見通しで、また、目玉の1つである現金給付については、18歳以下に一律10万円相当を給付する案が有力となっており、対象は約2,000万人、予算規模は総額2兆円程度とみられます。このほか、困窮世帯に5万円を追加給付する案や、所得制限を設けて一律の給付を回避する案も検討されている模様です。
10年後以降の増税を予想する家計が多いほど、現金給付の景気刺激効果は低下する可能性
なお、英国の経済学者デビッド・リカードは、財政政策について、次のような考え方を提唱しました。すなわち、政府が景気刺激のために減税し、減税分を国債発行で賄うとした場合、家計が将来の国債償還時の増税を予想すれば、家計は現在の減税分を消費に回すことなく将来の増税に備えて貯蓄するので、減税は何ら景気を刺激する効果を持たないというものです。これは一般に「リカードの中立命題(または等価定理)」といわれています。 前述の通り、今回、経済対策の目玉の1つは、減税ではなく現金給付ですが、岸田首相は10月18日の党首討論会で、今の非常時においては政策の財源として国債を思い切って使うべきだと述べています。一方、財政赤字について、10年程度は消費税率を引き上げることはないが、財政再建の旗は降ろしてはいけないとの立場です。したがって、10年後以降の増税を予想する家計が多いほど現金給付の政策効果は低下する恐れがあります。
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