韓国メディアでここひと月ほど「北朝鮮でトンピョが発行されている」という報道が出ていた。東洋経済が入手した「トンピョ」の写真を見ると、額面は5000北朝鮮ウォン、「朝鮮民主主義人民共和国中央銀行」「トンピョ」「主体110(2021)年」と記されている。また平壌にある凱旋門などの名所が描かれている。 ■19年ぶりの外貨兌換券発行か? 実は北朝鮮は、1979年から20年以上にわたって「外貨と交換するトンピョ」を発行していたことがある。外交官や海外にいる家族・親戚からの送金などで外貨を所有する人が、平壌などに約20カ所あった外貨商店といった場所で、外貨をトンピョに交換して使っていた。当時、一般の国民には入手が難しかった家電や食料などの外国製品を購入できた。
ところが1990年代以降、旧ソ連・東欧圏の崩壊で貿易や援助国が急減。とくに1990年代後半に深刻な食糧難、物資難が発生し国家の経済機能がマヒすると、私経済である闇市場が拡大する。そこでは、外貨を持っていてもトンピョと替えることなく、直接米ドルや中国人民元などの外貨で支払うか、両替商を通じて北朝鮮ウォンと交換して商取引がなされていた。そのため、トンピョが使われることも少なくなり、2002年7月には当時の金正日総書記がトンピョを廃止した。
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