韓国の民間シンクタンク・韓国経済研究院は5月25日、「韓国と日本の貿易縮小による経済的影響の分析」と題する研究結果を公表した。
分析に当たっては、韓国の対主要国の2017年~2018年の貿易額と2019年~2020年の貿易額を比較した。2019年~2020年の対EU貿易は4.8%減、対中貿易は4.7%減、対米貿易は6.3%増だったのに対し、対日貿易は11.9%減と、対日貿易の落ち込みが大きかった。
韓国の製造業の対外直接投資額(ネット、注1)は、2017年~2018年の217億ドルから2019年~2020年は279億ドルと、28.6%増加した半面、日本への直接投資額は1億6,800万ドルから1億2,500万ドルに25.6%減少した。また、日本の製造業の対外直接投資額は2017年~2018年の12.6兆円から2019年~2020年の18.6兆円と47.6%増加したのに対し、韓国への直接投資額は2017年~2018年の5,786億円から2019年~2020年の2,194億円へ62.1%減少した。
今回はさらに、韓国の産業連関表を活用し、貿易の縮小による韓国経済への影響度を分析(注2)した(添付資料表参照)。その結果、2019年~2020年は2017~2018年に比べ、韓国の生産誘発額は約1兆2,000億ウォン(約1,200億円、1ウォン=約0.1円)、付加価値誘発額は約5,900億ウォン、雇用誘発効果は約1万3,300人、それぞれ減少した。
同研究院のチュ・グァンホ経済政策室長は「韓日関係悪化が両国経済に悪影響を及ぼしているだけに、両国政府は関係の正常化に向けて努力し、経済的な悪影響を抑えるべき」とコメントした。
(注1)当該年の対外直接投資額から回収した金額を差し引いた投資額。
(注2)対外直接投資は投資形態(M&Aやグリーンフィールドなど)別の統計が確保できないため、影響度評価の対象外とした。
(当間正明)
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