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Wednesday, October 14, 2020

「中国型」の財政政策、不確実性は追い風 - Wall Street Journal

長江の橋の建設作業が進んでいる(中国江蘇省、13日)

Photo: alex plavevski/Shutterstock

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 中国はインフラに過剰投資している。一方、米国など他の富裕国では一般的に過小投資となっている。長らく財政再建を訴えてきた国際通貨基金(IMF)はここに来て、富裕国も中国にもう一歩近づき、公共投資を大幅に拡大することを提案している。

 まれに見る複数の要因が重なり、IMFが先週公表した報告書の正当性が示唆されている。金利は過去最低近辺にある。富裕国、特に米国の公的資本ストックはめっきり減少している。過去のリセッション(景気後退)を基準にしても、成長を巡る不確実性はことの外高い。

 これに加え、世界の政治的な風向きは変わりつつある。新型コロナウイルスの感染が終息すれば、中国からサプライチェーン(供給網)を分散する取り組みが本格化しそうだ。そのためには、各国は堅固なインフラ――物理的な「ハード」面のインフラと、健康で教育水準の高い人材や資金の豊富な研究機関など「ソフト」面のインフラの双方――が必要になる。

 公共投資に関する最近の調査は、興味深いトレンドを浮き彫りにしている。世界銀行がまとめた7月の報告書によると、1980年代、90年代、2000年代初頭のほとんどの期間で、中国の方が米国よりもインフラ投資や政府投資へのリターンが高かったのに対し、過去10年の大部分ではそれが逆転した。

 IMFも似たような結論に達している。IMFは中国でインフラ投資のリターンが縮小した原因として、生産性の伸び鈍化(2009年以降ほぼ半減している)を挙げている。ただ、富裕国の公的資本ストックが1990年代の初め以降、国内総生産(GDP)と比べて大幅に減少していることも明らかになった。IMFはさらに、米国のあらゆる道路や橋を修復するだけでも、GDPの3.5%に相当するコストが掛かると推計している。

 興味深いことに、IMFの報告書はまた、経済的な不確実性が非常に高い時(アナリストの成長予想がどの程度広く分布するかによって測定)には、財政政策によって民間企業の投資にも弾みがつくことを示している。政府の大規模な財政措置について、成長と安定を目指す強い意気込みと民間企業が受け止めるからかもしれない。

 財政投資が予想外に1%拡大すれば、不確実性が高い時には2年間でGDPを約2.7%押し上げ、民間投資は10.1%増加するが、不確実性が低いときにはいずれも小幅ながらマイナスの影響が出るという。

 2020年はまさに、不確実性が極めて高くなっている。IMFのデータによると、2020年初頭の米国とユーロ圏の成長予測の標準偏差は2008年後半よりケタ違いに大きくなっていた。これはつまり、今すぐ公共投資を拡大すれば、大きな効力を発揮できる可能性があることを意味する。

 とはいえ、いくつか重要な留意点もある。IMFによると、企業のレバレッジが高い時期には、民間投資の押し上げ効果が消滅することが確認されている。ここ数年に企業のレバレッジが急速に上昇し、新型コロナ流行で一段と高まった米国では、効果が薄れる可能性がある。米投資不適格(ジャンク)債の利回り格差(スプレッド)は今春に急拡大して以降、大幅に縮小しているが、依然として2019年終盤の水準を大きく上回る。

 中国は行き過ぎたインフラ建設の結果、生産性の低下という大きな代償をすでに払っている。だが、ここ30年にそれと逆方向へ振れ過ぎた富裕国――とりわけ企業が比較的慎重な姿勢をとってきた国――にとっては、経済のさび付いた基盤に投資するには今が絶好の機会かもしれない。

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