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Monday, July 27, 2020

骨太の方針 財政棚上げは無責任だ - 東京新聞


 来年度予算編成の指針となる「骨太の方針」が閣議決定された。コロナ禍対策で国債発行が激増する中、財政再建目標を削除した。支出圧力が極度に強まっているとはいえ、あまりにも無責任だ。

 骨太の方針には例年国の政策的経費の収支「プライマリーバランス」を黒字化する目標年度が掲げられた。国の借金である国債発行を抑え財政再建を図るためだ。

 今年も昨年度同様「二〇二五年度」との目標が盛り込まれるとみられていたが、政府は明記を見送った。西村康稔経済再生担当相は「財政を考えている場合ではない」と述べた。一時的にせよ財政再建を棚上げする姿勢を示した発言であり、見過ごせない。

 確かに、本年度予算は二度の補正予算編成を余儀なくされ、一般会計の総額がすでに百六十兆円を超えた。今後、さらなる対策が必要となれば、その額は増える。

 コロナ禍対策は最優先の課題であり、躊躇(ちゅうちょ)なき財政出動に異論はない。ただ、増大する予算の大半を国債でまかなっている現実を無視することはできないはずだ。

 国内総生産(GDP)に対する債務残高は二〇年度、政府見通しの189%から200%以上に激増することは確実だ。残された借金は次の世代に巨大なツケとして回ることになる。

 目標の取り下げは財政規律を一層緩める恐れがある。コロナ禍に限らず各省庁は国家的な課題が生じれば、例年以上に幅広い名目で予算を増やそうとする傾向が顕著だ。いったん確保すれば次年度以降、予算化のハードルは下がり、省益の拡大にもつながるからだ。

 税金や国債で国の政策をつくる官僚たちのコスト意識は、民間企業より低いと言わざるを得ない。だからこそ、政治の側が常に、財政の緩みに歯止めをかける決意をみせるべきではないのか。

 安倍政権の経済政策「アベノミクス」は金融緩和と財政出動、成長戦略という三本柱で経済を成長軌道に乗せる計画だった。景気の大幅な後退は防ぐことはできたが成長率は低迷し、実質賃金も増えたとは言い難い。唯一、海外からの観光客は増えたが、それもコロナ禍で消えてしまった。

 成長戦略を描き直さずに財政状況を無視し、コロナ禍対策を優先して予算をさらに膨張させるなら、経済政策の大転換にほかならない。安倍晋三首相は自らの考えを直ちに国民に説明すべきであり、それが政治指導者としての務めである。

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