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Sunday, June 7, 2020

コロナ後の「9割経済」を回す新たな主役 - ITpro

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 緊急事態宣言が解除された。依然として予断を許さない状況だが、経済に晴れ間がのぞきつつある。2カ月近くにわたる経済の“ロックダウン”が人々に及ぼした心理的影響、第二波や別の感染症への懸念に鑑みると、当面の間、経済活動が元の水準を取り戻すのは難しいだろう。

 事実、日本経済新聞が7割経済と表現したように、足元の需要回復には慎重さがのしかかる。また英エコノミストは「90% Economy」という表現で、先行してロックダウンを解除した中国の状況をリポートしている。同国社会はコロナ禍以前に戻ったはずだが、実際には経済的な萎縮が長期化しかねないという。同誌が指摘するように、多くの事柄において「1割引き」はさしたる問題ではない。しかし経済の世界に限って言えば、由々しき問題だ。

生活者の変化に欠かせないツール

 必ずしも正確な分析とは言えないが、平成30年度の「法人企業統計」(財務省)の数字を借りると、全産業における売上高経常利益率は5.5%、宿泊業・飲食サービス業に限ると2.6%となっている。この利益率の数字は、企業規模が小さければさらに縮小する統計結果になる。こうした経済圏において、売り上げが10%縮小することは悲劇的だ。

 サービス産業のなかにあって顧客との対面を前提としてきた小売業や飲食業は、経済が変革を迎える際に雇用の受け皿となる場所だ。しかし感染症危機は、社会経済のセーフティーネットになり得る場所に対して集中的に、外出自粛というダメージを与えた。多岐にわたる補助や助成が手当てされつつあるとはいえ、これまでもぎりぎりの利益水準だった事業者は、事業構造の見直しや調整を迫られている。

 働き手に対する影響はどうか。社会の変化は、例えば転職や居住地の変更など生活を変える契機となる。その際、どうしても一時的な経済負担が伴う。従来はFinTechにおける新しいチャレンジとしてR&D(研究・開発)的に捉えられてきた個人の信用スコアを基にした少額融資が、生活に欠かせないツールとして浮上してくることになるはずだ。

 消費者ローンには、過去の経緯も相まって消極的なイメージを持つ人も少なくない。ただ、電子マネー事業者が提供する融資手段などにおいては、手元のスマートフォンで数円単位の返済ができたり、数日単位でお金を借りたりといったことが可能だ。これらの融資サービスが、様々なアルゴリズム(陳腐な例だが「おつり貯金」ならぬ「おつり返済」など)と組み合わさることで、よりユーザー本位な返済手段の提供という新たな付加価値を生み出せる。

 家計簿サービスのような資産の見える化や、先述した新しい融資サービスによる返済のしやすさが体感として普及すれば、とにかく借金を避けたい国民性に変化を及ぼし、お金を中立的なツールと見なすモメンタムへの移行に少しは寄与するのではないだろうか。

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