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Saturday, May 16, 2020

米中対立再び深く、報復連鎖 経済回復の重荷に - 日本経済新聞

米国と中国の対立が新型コロナウイルスの感染拡大で再び深まってきた。大統領選を控えるトランプ米大統領はウイルスの発生源とみる対中批判を強め、火種は従来の貿易や安全保障から広がりをみせる。報復措置の連鎖を招けば、新型コロナの打撃で痛む世界経済の回復をさらに遅らせることになりかねない。

「あの合意からまもなくウイルスが中国から入ってきた。心躍るわけがない」。トランプ氏は15日、2月に発効した米中貿易の「第1段階合意」の履行が進んでいないと改めて不満をあらわにした。ホワイトハウスで記者団に語った。

貿易戦争は第1段階合意でいったん収束したはずだった。ただ、新型コロナが世界に広がると状況は一変した。米国では発生源とされる中国への反感が高まり、世論調査では過去最悪の水準となった。

トランプ政権と共和党は「中国たたき」が得票につながるとみて強硬姿勢に傾斜する。米国内での感染拡大への責任を回避する思惑もあり、中国政府に損害賠償を求める訴訟の提起や対中関税の引き上げなど複数のメニューを検討してきた。

15日には米中対立の主戦場であるハイテク分野で華為技術(ファーウェイ)への事実上の禁輸措置を強めた。制裁逃れのために半導体の内製化を進めてきたファーウェイの戦略をくじく狙いがある。

「規制の抜け穴を防ぐために綿密に編み出した措置だ」。ロス商務長官は15日、米メディアに狙いを語った。外国製で米国由来の技術やソフトウエアが25%以下であれば規制の対象外とのルールにより外国製半導体の輸出が続く「抜け穴」となっていた。今回はファーウェイが設計に関与した外国製の半導体も米国の製造装置を使えば規制対象とする。中国側が報復措置に動く可能性も覚悟した上で実施に踏み切ったが、中国が報復に動けば打撃は大きい。

ファーウェイは中国の習近平(シー・ジンピン)指導部が重視する次世代通信規格「5G」を担う中核企業だ。米国が制裁を強めたときの米中関係に及ぼす影響力は大きいだけに、省庁横断で議論を重ねてきた。

制裁強化の背景には、中国への不信感がある。商務省が15日開いた電話記者会見に同席した国務省高官は、知的財産の窃取、人権侵害など問題点を並べた上で「中国共産党の政策やアプローチがもたらす一連の挑戦に取り組んでいるだけだ」と正当性を主張した。

米国側はハイテク分野で依然として多くのカードを持つ。ファーウェイを巡っては、通信網の保守に必要な場合に一部取引を認める例外措置を設けてきたが、15日には「8月にも打ち切る可能性がある」と同時に発表した。例外措置をなくせばファーウェイの製品調達経路はさらに断たれる。これまで監視カメラやスーパーコンピューター、原発など中国の基幹技術を担う企業を禁輸対象にしており、対象をさらに広げる可能性もある。

ファーウェイのサプライチェーンは世界にまたがる。18年末に公表した主要な部品調達先92社のうち、米国が33社と最多で、中国(25社)、日本(11社)、台湾(10社)が続く。ただ米商務省の新たな規制は「ファーウェイや関連会社が設計に関与している半導体」という条件を付けた。汎用品は対象外の可能性があり、ファーウェイ関係者は「日本企業などからの半導体の購入は今後も継続できるだろう」と話す。日本からの調達額は19年で計1兆円超という。

金融・資本市場分野では米連邦職員向け年金基金による中国株投資の阻止が明らかになった。トランプ政権は米国市場に上場している中国企業の監視も強めようとしている。

中国の報復措置として想定されるのは許認可の遅れだ。中国を成長市場と位置づける米国の銀行や資産運用会社は対中進出を加速しており、JPモルガン・チェースは4月上旬、当局の承認を前提に資産運用の現地合弁の完全子会社化を公表した。ゴールドマン・サックスなども100%子会社の設立をめざす。ただ、米中対立で当局の審査や手続きが滞る可能性がある。

米中の第1段階合意には中国での証券や先物取引、資産運用分野の外資規制撤廃が盛り込まれた。従来は外資系による100%子会社設立は認められず、現地企業との合弁を強いられていた。外資開放を機に成長戦略に弾みをつける算段だったが、米中対立の再燃で修正を迫られる可能性が出てきた。

焦点は中国の対米姿勢だ。「報復する準備がある」。ファーウェイへの制裁強化に対して中国共産党系メディアの環球時報(英語版)は15日、アップルとクアルコム、シスコシステムズとボーイングを名指しして社説で警告を発した。

中国外務省の趙立堅副報道局長は16日、「中国政府は断固として中国企業の権益を守る」とコメントした。ファーウェイは16日、従業員向けSNS(交流サイト)に「英雄は昔から多くの困難にもまれる」と配信。18日にはアナリスト向けに禁輸措置強化の影響などを説明する。

(ワシントン=永沢毅、鳳山太成、広州=川上尚志)

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May 16, 2020 at 04:45PM
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