【ソウル=桜井紀雄】韓国で容疑者や参考人が検察出頭時に報道陣に取り囲まれ、取材に答える光景が見られなくなりそうだ。韓国最高検は4日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長が事件関係者の「公開召喚」を全面的に廃止するよう全国の検察庁に指示したと明らかにした。
韓国では、報道陣が検察庁舎の玄関床に黄色いテープを貼って「フォトライン」と呼び、政府高官でも財閥トップでも出頭した関係者がそこで立ち止まってカメラのフラッシュを浴びながら一言取材に応じることが慣例的に行われてきた。
「人権侵害だ」との批判も強く、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が最側近のチョ・グク法相一家の捜査に絡み、検察に捜査慣行の見直しを求める異例の発言を行った。尹氏がこれに応じた形だが、発表に先立ち、3日に取り調べを受けたチョ氏の妻で大学教授のチョン・ギョンシム被告が、いわば“第1例”として、報道陣の目に触れないように出頭させる措置が取られたことから「政権側に屈した」との批判も出ている。
政府高官ら重要事件の容疑者などに関し、報道機関に事前に知らされてきた出頭日時の通知を取りやめるという。「密室捜査になる」との懸念に対し、検察側は「メディアの監視機能を保証すべきだとの声には耳を傾ける」としている。
チョン被告の3日の聴取は健康状態を理由に夕方には打ち切られた。深夜に及ぶ検察の取り調べが常態化していることにも批判が強く、改善すべきあしき慣行の一つに挙げられている。
2019-10-04 08:48:00Z
https://www.sankei.com/world/news/191004/wor1910040023-n1.html
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